秋のアレルギー性鼻炎についてーRKBタダイマ!番組内でお話させていただきました
アレルギー性鼻炎のなかで花粉を原因(アレルゲン)とするものを花粉症と呼んでいます。
花粉症といえばスギ、ヒノキと思われる方が多いと思いますが、
秋にも花粉症があります。ブタクサ、ヨモギなどのキク科の植物、カナムグラといったアサ科の植物、
イネ科の植物も秋にかけて花粉量が増えてきます。
さらには花粉ではありませんが、秋は夏に繁殖したゴキブリやダニの死骸や糞が増える時期でもありそれに対するアレルギーも増えますし、
さらにこの時期は蛾も増え、その幼虫の死骸や鱗粉がアレルギーの原因になります。
また、真夏より温度が下がり、カビが繁殖しやすい環境になるためカビに対するアレルギーも増加します。
むしろ春の時期よりも秋のほうがアレルギーの原因としては多くなっているといえます。
ブタクサ
特にブタクサは秋の花粉症を引き起こす代表的なアレルゲン(アレルギーの原因)です。
ブタクサは明治時代に北アメリカから渡来したとされており、日本で報告された初めての花粉症です。
現在はブタクサよりも繁殖が強いオオブタクサのほうが優勢になっています。
ブタクサは背たけ1メートルくらいまで成長しますが、オオブタクサは3メートルくらいまで成長し、その分花粉の量も多くなっています。
九州地方では9月半ば~10月半ばが花粉のピークとなっています。
ブタクサ花粉の飛散距離はスギのように遠くには飛ばず、せいぜい数百メートル程度です。ですのでブタクサが生えている草むらや河川敷などに近寄らないことが対策になりますが、
そうはいっても自宅の近くにある場合は難しいかもしれません。春の花粉症の対策と同様に自宅に入るときに花粉を入れないように服を払って家に入ったり、風の強い日は窓を開けないようにしたり、花粉用のゴーグル、マスクで対策をするとよいでしょう。
自宅の近くに生えている場合、成長するとかなりの背たけとなり、なかなか除草するのが困難になりますので。その前に除草してしまうとよいでしょう。
ブタクサによる花粉症は春の花粉症と同じくくしゃみ、鼻水、鼻つまり、目のかゆみが症状となりますが、ブタクサ花粉はスギ花粉よりも花粉の大きさが小さくより気管の方まで到達しやすいため、咳が出やすいのが特徴となっています。
そのため風邪による症状と鑑別がしにくいことがあります。
風邪と思って様子をみていたが、なかなか良くならないので耳鼻科を受診したらアレルギー性鼻炎だったということもよくあります。
またブタクサはメロンやスイカなどの食物アレルギーを合併することが多いです。食物アレルギーに関しても検査をすることをお勧めします。
イネ科の植物
カモガヤ、オオアワガエリなどのイネ科の植物は冬を除いてほとんど一年中花粉が飛んでいますが、初夏と秋に飛散のピークがあります。
カビ
カビの発育には湿気の他にも、気温が重要で、夏の間はカビにとっては気温が高すぎるため繁殖しにくいですが、秋になると気温が下がってきてカビの発育に適した環境になってきます。
カビは湿気の多い浴室や台所に発生するクラドスポリウム(クロカビ)、アルテルナリア(ススカビ)、靴箱や押し入れなど比較的乾燥した場所にも発生するアスペルギルス(コウジカビ)などがあります。
カビはアレルギー性鼻炎の原因になるだけではなく、副鼻腔炎の原因にもなります。
特に季節性があるわけではないのですが、真菌性副鼻腔炎といい、真菌塊を作る慢性非浸潤性副鼻腔真菌症やアレルギーに関与したアレルギー性真菌性鼻副鼻腔炎などに分類されます。
CTにより真菌性副鼻腔炎の可能性がないか診断しますが、これらの疾患の多くは手術を必要としますので、鼻炎の経過が通常と異なる場合には、CTを撮影してそれらの可能性がないか検査をしてみるとよいでしょう。
最後に
アレルギー性鼻炎も放置しておくとひどくなり副鼻腔炎を合併します。
副鼻腔炎になると頭痛、目の痛み、発熱などのよりつらい症状を引き起こします。
副鼻腔炎は内視鏡や、X線、CTにて診断ができます。
ただの鼻水、鼻つまりと思っていても放置せずに耳鼻科を受診し、風邪かアレルギー性鼻炎か、副鼻腔炎を合併していないかなどを診断してもらうことをお勧めします。