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【論文解説・臨床整理】小児LPR(咽喉頭酸逆流症)診断はなぜ難しいのか 耳鼻科としての対応

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福岡県久留米市にある”まさあき耳鼻咽喉科と美容のクリニック”です。

本記事は、”Journal of Clinical Medicine(2023;12:1436)”に掲載された小児LPR(咽喉頭酸逆流症)に関する論文解説と、小児LPRを耳鼻咽喉科的にどう扱うかについて記載しています

 

論文解説

1. 小児LPRに明確な指針が必要

現在小児LPRに関するエビデンスは限られている。診断手順と基準を統一した、十分な検出力を有する多施設共同対照試験が緊急に必要である。

喉頭咽頭逆流症(LPR)は、胃・十二指腸内容物が上部食道括約筋を越えて咽頭・喉頭へ逆流する状態と定義されます。

小児では、上部および下部食道括約筋の発達が未熟なため、逆流は特に乳児期に多くみられます。多くの乳児では摂食障害や気道症状を伴わず、1歳頃までに自然に改善しますが、一部では重症化し、さまざまな症状や合併症を呈することがあります。

小児LPRは、喉頭軟化症や慢性副鼻腔炎、中耳炎、アデノ扁桃肥大、喘息、反復性肺炎など多様な小児疾患との関連が指摘されていますが、小児集団における明確な因果関係は確立されていません。

また現在のところ、小児LPRを確実に診断できるゴールドスタンダードとなる検査は存在せず、年齢に応じた治療薬の選択、投与量や期間、長期使用の安全性についても明確な指針は十分に整備されていません。

2. 喉頭所見の有用性

JCM論文では、柔軟性内視鏡による咽喉頭評価は小児LPR診療において不可欠であり、

後連合部肥厚や披裂部発赤・浮腫などの所見は、小児LPRを示唆する重要な指標とされています。

声帯結節、再発性若年性乳頭腫症、喉頭肉芽腫またはポリープ、声帯麻痺、声門下狭窄、声帯溝または偽溝、喉頭裂、喉頭軟化症など、他の診断や関連疾患を検出することで鑑別診断を容易にすることができます。

一方で、これらの所見は単独で診断を確定するものではなく、

鑑別診断や臨床経過と併せて解釈すべきであると論じられています。

3. RSI/RFSは小児では十分な精度がない

逆流症状指数(RSI)は、この質問票自体小児年齢層での使用が検証されていません。さらに、耳の圧迫感、体重増加不良、授乳中の反り返り、再発性クループ、口臭など、おそらく若年層でより多くみられるLPRの多くの症状が考慮された質問になっていません。また、関連症状の重症度も評価するが、これらの症状の頻度や持続期間は考慮されていません。

逆流所見スコア(RFS)は、喉頭の内視鏡所見を評価するためのツールです。声門下浮腫、喉頭室閉塞、紅斑/充血、声帯浮腫、びまん性喉頭浮腫、後交連肥大、肉芽腫、および喉頭内粘液の蓄積などの所見の存在と重症度を評価します。しかし小児患者では小児では、解剖学的構造が小さいことや細径内視鏡による画質の制限に加え、覚醒下で興奮しやすいことから、内視鏡所見の評価が制限される場合があります。

4. ペプシン測定の位置づけ ― 小児LPR診断補助としての可能性と限界

JCM論文では、ペプシンは非酸性逆流を含む逆流イベントを捉える非侵襲的バイオマーカーとして位置づけられており、
特に唾液ペプシン測定は小児LPR診療において臨床的意義を持つ可能性が示されています。
一方で、MII-pH検査との一致は完全ではなく、
ペプシン測定単独での診断には限界があることも強調されています。

 

耳鼻科医はLPRをどう扱うべきか

 

1. 耳鼻咽喉科医の役割:他の原因の除外

耳鼻咽喉科医の役割は、逆流を証明することではなく、他の原因を除外し、逆流関与の可能性を見極めること

  • 反復性上気道感染
  • アレルギー性鼻炎
  • 副鼻腔炎
  • アデノイド増殖、喉頭軟化症などの構造異常

といった原因を除外したうえで、「逆流が関与している可能性があるか」を評価する。

2. LPR関与を疑う症状

症状の特徴

  • 咳が3〜4週以上遷延
  • 夜間・朝方優位
  • 食後・臥位で悪化
  • 咳払い・喉違和感が主体

経過

  • 感染後に咳だけ残る
  • 鼻炎治療に反応しにくい

3. 耳鼻咽喉科所見

よく遭遇する所見

  • 後連合部肥厚
  • 披裂部発赤・浮腫
  • 咽頭後壁発赤
  • 喉頭軽度浮腫
  • 分泌物付着

以上の所見は特異的ではなく、単独では診断できない。しかしLPRを疑う所見として有用

4. 診断アプローチ

  1. 問診で経過・誘因を把握、LPRを疑う
  2. 診察で他疾患を除外
  3. LPR関与の可能性
  4. 生活指導+鼻炎などの局所環境のコントロール+経過観察
  5. 改善傾向 → 逆流関与の可能性が高い→ 治療反応性を含めた臨床診断

5. 生活指導

食事・飲食に関する指導

  • 就寝前2〜3時間は飲食を控える
  • 食後すぐ横にならない
  • 一度にたくさん食べない(少量・分割
  • 早食いを避ける

姿勢・体位

  • 食後は座位・立位を保つ
  • 前かがみ姿勢が長く続かないよう注意
  • 就寝時は頭側をやや高く
    ※乳児では安全面を最優先(無理な枕はNG)

日常生活

  • 強くいきむ・腹圧をかける動作を減らす
  • 激しい運動は食後すぐには行わない
  • 締め付けの強い衣服を避ける

6. 他科との連携

生活指導を含めた耳鼻科的対応を一定期間行うも改善しない場合

以下のような所見がある

  • 体重増加不良・哺乳不良
  • 嘔吐を繰り返す
  • 吐血・血便
    嚥下障害
  • 明らかな成長発達への影響

 

PPI / H2ブロッカー薬物治療の適応判断が必要な場合

 

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Valentinos Sofokleous,Anna-Maria Papadopoulou, Evangelos Giotakis,Alexander Delides, Efthymios Kyrodimos, Pavlos Maragoudakis and Ioannis Psarommatis

J Clin Med. 2023 Feb 10;12(4):1436

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