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【論文・研究解説】論文・研究解説  亜鉛とアレルギー疾患 ― 花粉症との意外な関係

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福岡県久留米市にある”まさあき耳鼻咽喉科と美容のクリニック”です。今回は亜鉛とアレルギー性鼻炎(花粉症)についての論文について解説します。

2024年に国際的な医学雑誌”Biomolecules”に掲載された研究では、亜鉛が不足した状態とアレルギー疾患との関係について、これまでの多くの研究結果をまとめて検討しています。

花粉症は「免疫の偏り」で起こる病気

花粉症(アレルギー性鼻炎)は、単なる鼻水・くしゃみの病気ではありません。

免疫学的には IgE抗体の過剰産生 と Th2優位の免疫反応(いわゆる2型炎症)を背景とした、慢性的な炎症性疾患です。

この免疫の偏りが生じる理由については、遺伝的素因、環境要因、腸内環境などが複合的に関与すると考えられてきましたが、近年「栄養状態」も重要な修飾因子であることが注目されています。

亜鉛とアレルギー性疾患(喘息・アレルギー性鼻炎)との関連について

亜鉛は

  • 免疫細胞の分化
  • 炎症性サイトカインの調整
  • 粘膜バリア機能の維持

などに深く関与する必須微量元素です。

亜鉛が不足した状態では、以下のような免疫の変化が起こり、花粉症や喘息でみられる免疫反応と共通する特徴が現れると考えられています。

  • Th1/Th2バランスが崩れ、Th2優位になる
  • IL-4、IL-5、IL-13といったアレルギー関連サイトカインが増加
  • IgE産生が亢進
  • 好酸球性炎症が助長される
  • 鼻粘膜や気道上皮のバリア機能が低下

 

さらに論文では、喘息、アレルギー性鼻炎、慢性副鼻腔炎の患者の一部において

  • 血清亜鉛値の低下
  • 粘膜組織内の亜鉛不足
  • 上皮バリア機能の障害

が報告されていることが紹介されています。

特に鼻粘膜では、亜鉛が細胞間結合(タイトジャンクション)を安定化させる役割を担っており、亜鉛不足は”粘膜の脆弱化 → 炎症の持続”につながる可能性が示唆されています。

この論文が示唆すること

花粉症の治療は、あくまで標準治療(抗ヒスタミン薬・点鼻ステロイド)が主軸であり、「亜鉛を摂れば花粉症が治る」といった単純な話ではありません。
一方で本論文は、花粉症という疾患を「免疫の背景」から捉え直す重要な視点を提示しています。

本研究が示唆するのは、「同じ治療を行っても、効きやすい人と効きにくい人がいる理由」の一端が、免疫を支える“土台”にある可能性です。

たとえば、食事が不規則な方、極端なダイエットをしている方、高齢の方、慢性的な胃腸症状がある方、あるいは薬剤(PPIなど)を継続的に内服している方では、微量元素を含む栄養状態の乱れが免疫反応に影響している可能性があります。

このような背景を踏まえると、花粉症を「鼻だけの病気」として捉えるのではなく、全身状態の一部として診ていく視点が大切であることがわかります。

実際に、症状が長引く場合や、例年よりも強く症状が出る場合には、生活リズムや食事内容、体調の変化といった背景因子を確認することが、治療の質を高めることにつながる可能性があります。

本研究は、花粉症治療において、私たちの視野を一段深めてくれる研究と言えるでしょう。

 

参考文献

Maywald M, Rink L. Zinc Deficiency and Zinc Supplementation in Allergic Diseases. Biomolecules. 2024;14:863. 

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